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「何がなんでもプロに」 岡山学芸館2年生GK平塚仁が選手権初優勝で膨らませる野望平塚の好守なくして岡山県勢初の全国制覇はあり得なかった2年生守護神がこの試合でも見せた。1月9日に行われた岡山学芸館(岡山)と東山(京都)の第101回全国高校サッカー選手権大会決勝戦で、これまで度重なるビッグセーブとPKストップを見せてきた岡山学芸館GK平塚仁が、攻撃力が売りの東山の前に立ちはだかった。立ち上がりから彼の空中戦の強さが目立った。ロングスローやコーナーキック(CK)をいとも簡単にキャッチして守備を安定させる。前半35分には東山MF真田蓮司の精度の高い右CKに対し、すぐにコースを読み取った平塚は、カーブがかかって沈んでくる難しいボールにもかかわらず、両手をスッと伸ばしてガッチリとキャッチした。 さらに後半4分には左からのロングスローをニアで味方がヘッドを捉えきれず、結果的にすらすような形になった難しいボールを冷静にキャッチ。そのまま「ずっと参考にして武器として磨いてきた」と語るイングランド1部マンチェスター・シティのブラジル代表GKエデルソンのような精度の底弾道のキックを味方に送り込み、チャンスを作り出した。 また、後半28分には真田の左サイドからの折り返しを、中央でセレッソ大阪加入内定のMF阪田澪哉にドンピシャヘッドで合わされるが、ライナーのボールに対して瞬時に反応。指先にわずかに触れたことでコースが微妙に変化し、ボールはクロスバーを叩いて、大きく前に弾かれていった。同45分には相手ロングスローをトスティングからキャッチをするなど、GKとしての能力をフルに発揮。止めることは相当難易度の高い真田のスーパーミドルから1失点こそ喫したが、それ以外のシュート、クロスは完璧に防ぎ切った。岡山県勢初の全国制覇は彼なくして成し得なかった。 「選手権という多くの観客が集まって、メディアからも注目されるこの大会で活躍して名をあげたいと思っていた。小さい時から選手権にずっと憧れていて、『ここに出て活躍していろんな人に知られたい』と思っていた」 「ステップアップの大会になった」と手応え平塚にとって選手権は絶対に出なければいけない憧れの大会だった。中学3年生の時には山梨学院の熊倉匠(現・立正大)がビッグセーブを連発し、チームを2度目の選手権優勝に導く姿を見て、さらに憧れは深まった。そして、その悲願をついに達成した。 「今日は阪田選手、準決勝では福田師王選手、大迫塁選手というプロに行く選手と対決できましたし、ステップアップの大会になりました」 平塚はまだ2年生。来年は選手権優勝に導いた守護神としてさらに注目が集まることは必至だ。 「来年はかなりマークされるので、頑張らないといけないし、大学経由でもいいので、何がなんでもプロになりたいです」 自らの立てた目標に対してひたすら前進をする守護神。「いい思い出ができました」と語る国立のピッチに1年後立つことを彼は信じている。その時はプロ内定の看板を提げて。 (出典:FOOTBALL ZONE) |
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【コラム】金子達仁 久々の“キャッチするGK”岡山学芸館・平塚 今後に期待 昔の選手は凄かった、と年寄りは言う。だが、サッカーは常に進化している。かつての天才が、現代サッカーでも通用するとは限らない。そう信じていたわたしは、ゆえに、ペレを軽視していた。所詮(しょせん)はクライフ以前の王様。74年のW杯では、後継者たるリベリーノがオランダのトータルフットボールに完封された。ペレがいても、きっと結果は同じ。いわば旧世代の伝説。マラドーナにかなうわけがない。ずっと、そう思っていた。 考えが覆ったのは、社会人になってからだった。親しくさせてもらっていたベテランのカメラマン氏に言われた。 「ま、ペレ対マズルケビッチを見てなけりゃ、そう思うのも無理はないわな」 マズルケビッチ?誰?聞けば、70年大会に出場したウルグアイのGKだという。この選手をかわしたペレのプレーが、とてつもなく天才的なのだという。 まだYouTubeなどなかった時代である。わたしはありとあらゆるツテを使って70年大会の映像をかき集め、そして……度肝を抜かれた。 なるほど、凄い。ある意味、マラドーナの5人抜きより衝撃的(特に結末が)。ペレに対する思いは、激変した。 ありがたいことに、いまではYouTubeで「ペレ、マズルケビッチ」と入力するだけで、伝説のプレーを見ることができる。ご興味のある方は、ぜひ。 さて、前日もいつものようにYouTubeを眺めていると、「本田圭佑が無回転FKをしなくなった理由」という動画が目に留まった。本人曰(いわ)く「足に凄く負担がかかる」というのが、その理由だという。 足に負担がかかる、というのはそうかもしれない。普通のキックの動作が、腰を支点にした、漢字で言うと「人」の動きだとしたら、ボールを強く押し出さなければいけない無回転のキックは「几」に近くなる。技術的にも肉体的にも、簡単に蹴れるキックではない。 ただ、どれほど負担がかかろうとも、無回転FKが得点を生む金の卵である限り、それを封印するには少し理由が弱い。わたしは、ボールの違いも理由としては大きいはずだとみる。 彼が無回転FKで世界を驚かせたW杯南アフリカ大会。大会の公式使用球は「ジャブラニ」だった。ズールー語で「祝い」という意味があるこのボール、FKのキッカーにとっては「しめす偏」だったかもしれないが、GKにとっては最悪の「くち偏」だった。つまり、「祝」ではなく「呪」だった。 このボールが使用されるようになるまで、世界中のGKにとって、最高のプレーとはボールをキャッチすることだった。シュートもそう、ハイクロスもそう。空中に身体を躍らせ、全身が伸びた状態でボールを掴(つか)み、柔らかく着地する――。 ところが、予測不可能な動きを見せるボールが導入されたことで、GKの常識は一変した。クリーンキャッチは、目指すべきプレーどころか、避けるべきプレーになった。捕るな。弾(はじ)け。それが常識になった。 だから、今年の高校サッカーは嬉(うれ)しい驚きだった。 岡山学芸館の平塚仁。久々に現れた、キャッチング能力で魅せてくれるGK。ある種時代に逆行するようなスタイルを容認した指導者も素晴らしい。 すでにジャブラニは過去のボールとなり、今後は再び、GKの捕球能力が問われる時代が来る可能性もある。そうなれば、平塚のスタイルは、世界最先端だということになる。まだ2年生、今後の成長にも期待したい。 (金子達仁=スポーツライター) (出典:スポニチアネックス Sponichi Annex) |
【動画】岡山学芸館 平塚仁 プレー集
(Youtube)
個人的にはキックの精度は度肝を抜かれた。守備だけでなく、これだけ精度の高いキックを蹴れるGKをプロがほっとかないでしょ!