(出典 sportiva.shueisha.co.jp) 

前回は「完敗」。三笘薫はワン=ビサカにリベンジできたのか? 世界屈指の矛盾対決【分析コラム】


 プレミアリーグ第28節延期分、ブライトン対マンチェスター・ユナイテッドが現地時間4日に行われ、1-0でホームチームが勝利している。日本代表MF三笘薫は先発出場。FAカップ準決勝で「完敗」したアーロン・ワン=ビサカと再戦したが、その結果はいかに。
●試合終盤にドラマが


 90分間で1点しか生まれなかったが、見応えのあるゲームだった。

 ブライトンとマンチェスター・ユナイテッド。FAカップ準決勝でも激闘を繰り広げた両チームは、立ち上がりからそれぞれの強みを遺憾なく発揮している。前者はセンターバックとボランチが肝となる擬似カウンター。後者はマーカス・ラッシュフォードのスピードやブルーノ・フェルナンデスの一撃必殺パスを生かした鋭いカウンターから、多くのチャンスを作り出していた。

 しかし、互いに決定力を欠き、試合終盤までスコアは動かない。FAカップ同様、スコアレスでタイムアップの笛を迎えるかと思われた。

 それでも、最後の最後で勝利の女神がブライトンに微笑んだ。

 後半アディショナルタイム、ブライトンのコーナーキックの場面で、ルーク・ショーが手でボールをクリア。一度は見逃されたが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入し、OFR(オン・フィールド・レビュー)の末にブライトンにPKが与えられた。これをアレクシス・マック・アリスターが冷静に沈め、1-0で勝利している。

 ブライトンはこれでユナイテッド相手にシーズンダブルを達成。勝ち点を55とし、来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得にわずかながら望みを繋いだ。


●三笘薫VSワン=ビサカ。世界屈指の矛盾対決が再び


 ブライトンファンにとってはたまらないゲームで、サッカー日本代表MF三笘薫は先発出場を果たしている。ポジションはいつも通り左サイドハーフだ。

 そしてこの日マッチアップしたのは、アーロン・ワン=ビサカである。三笘はFAカップ準決勝でもイングランド代表DFと対戦したが、この時は完敗。その試合後には「彼は対人も強いのでそこを考えながらやっていましたが、最後のところで足が伸びてきたり、下げられる場面が多かった。完敗かなと思います」と大苦戦したことを認めていた。

 そんなFAカップ準決勝のリベンジマッチとなった今回も、ワン=ビサカのディフェンス力はさすがだった。三笘にベッタリと付かず、絶妙な距離をとる。そしてカットインのコースを徹底的に封じ、あえて三笘に縦への突破を許していた。

 もちろん、縦には行かせるが、最後のところはやらせない。さすがだったのが24分の場面。三笘がボックス内左で縦に仕掛けてクロスを上げようとしたが、ワン=ビサカが蜘蛛のように長い足でボールをカット。コーナーキックにもさせず、ユナイテッドのカウンターが発動していた。

 それでも、三笘は積極的に仕掛け続け、13分にはかなり警戒されている中でも強引にカットインし、シュートに持ち込んでいるなど、FAカップの時のように負けっぱなしという印象はなかった。1対1の守備では世界最高峰との声もあるワン=ビサカ相手に、短期間でこれほど勝負できるようになったのは、三笘の能力の高さゆえだろう。

 しかし、今回も三笘がワン=ビサカを上回ったとは言えないかもしれない。


●もったいなかった三笘薫のプレー

 先述の通り、ワン=ビサカはあえて三笘に縦への突破を許している。そのため日本最強のドリブラーは比較的簡単にボックス内へ侵入することができたが、仕上げの部分でイングランド代表DFに怖さを与えることができなかった。

 左サイドを主戦場とする右利きの選手が縦に抜け出せば、当然ながら左足でのラストパスやクロスが基本となる。三笘はその左足の精度というところでワン=ビサカの想像を上回ることができなかった。キーパスは1本記録したが、それは右足で出したものであり、左足からのものはほとんどチャンスに繋がっていない。55分には縦突破から左足でニアサイドを狙ったが、大きく枠を外れている。

 そして58分には、ボックス内でワン=ビサカと1対1に。中のコースを封じられた三笘は縦からの左足シュートではなく、やや無理な体勢から右足でシュートを放ったが、やはりパワーを伝えきれず。弱々しいボールはGKダビド・デ・ヘアに難なくキャッチされてしまった。ワン=ビサカの中切りに手を焼いている象徴的なシーンだったと言っていいかもしれない。

 左足で1つでも違いを作り出せていればワン=ビサカの対応もより困難となっていただろう。それだけに、ややもったいない結果となっている。ワン=ビサカの守備対応はボックス内への侵入を簡単に許していたとの見方もできるが、最終的にはそれを徹底したことで、日本人ドリブラーのストロングポイントをうまく消していたことになる。

 ただ、三笘は課題を抱えてからそれを克服するまでが早い選手だ。ワン=ビサカとの次の対戦はおそらく来季になるが、その時はまた違った結果となるかもしれない。

(文:小澤祐作)
(出典:フットボールチャンネル)            
 (出典  @Fooootest) 


(Youtube)

チームはFA杯のリベンジ果たす勝利!前回完全に抑えられた三笘薫、今回もワン=ビサカを完全に抜き去ってのチャンスメイクやゴールはできず。左足のクロスやシュートの新たな課題も…。三笘がその課題を克服して左足の精度を上げたら、より凄い選手になる!期待!!