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ブライトン指揮官に直撃! なぜ三笘薫は活躍できている? 元ファンタジスタの慧眼「いつでも実力を発揮できる準備はできていた」


三笘の才能を活かすために戦術的な修正を加える

 ブライトン三笘薫の快進撃が止まらない。

 プレミアリーグ初参戦となった今季、開幕からしばらくベンチスタートが続いたものの、初先発した昨年10月29日のチェルシー戦でアシストをマークしてチームの4-1勝利に貢献すると、続くウォルバーハンプトン戦で待望のプレミア初ゴールをマーク。その後も得意のドリブルを駆使して得点&アシストを量産し、今やビッグクラブも注目する存在に成長するなど、まさに欧州を席巻している。

 その活躍の裏に、9月18日にチェルシーに引き抜かれたグレアム・ポッター監督の後任として新指揮官に就任した、イタリア人ロベルト・デ・ゼルビ監督の存在があることは、三笘のブレイクとデ・ゼルビ監督の就任時期が重なったことでも、明らかだろう。
 ではなぜ、三笘はデ・ゼルビ監督のもとで主軸に成長できたのか。先日、デ・ゼルビ監督をインタビューする機会があったので、疑問を直接ぶつけてみた。すると、前任者(ポッター)へのリスペクトもあったのだろうか、まずはこう答えた。

「三笘は、ポッターが監督を続けていても、レギュラーになったと思うよ」

 当然、その可能性はあっただろう。とはいえ、その後に続けたコメントを聞けば、デ・ゼルビ監督が三笘を高く評価し、その才能を活かすためにチームに戦術的な修正を加えたことは、間違いない事実だと分かる。

「就任して数日で、三笘はトッププレーヤーになるだろうと思ったよ。プレミアリーグへの適応に時間がかかったとは思っていない。彼にはプレーする時間、そして彼の能力を発揮できる状況に置いてあげる必要があっただけ。チーム全体としてプレーしやすい、ドリブルしやすいボールを配球する。そうすれば、いつでも実力を発揮できる準備はできていたよ」

 実際、デ・ゼルビ監督は就任して数試合を指揮したあとに、3バックから4バックに変更。さらに戦術面でも、チーム全体に三笘も力を発揮できるような大きな変化を加えている。

「よりボールを握るサッカーに変え、後ろから理詰めでビルドアップできるように、相手のプレッシャーを回避してプレーできるように変更した。それから相手が何人でプレスに来ているか計算できるように、局面での数的有利を瞬時に把握できるように手を加えた。そして試合中にリズムを変えられるように指導した」

 まさに今のブライトンが展開するサッカーそのものだ。

 デ・ゼルビ監督は指揮官として頭角を現したサッスオーロでも、ポジションで優位性を獲得することにより、試合を有利に進めるポジショナルプレーでセリエAを席巻。当時バイエルン・ミュンヘンを指揮していたジョゼップ・グアルディオラ監督の元に赴き、指導を受けたこともあり、「イタリア版グアルディオラ」と称されていたこともあった。


「私はサッカーのビジョンが、他の人とは全く違うんだ」

 ブレミアリーグでも手腕を発揮したことですっかり有名になったデ・ゼルビ監督だが、実は、現役時代のことはあまり知られていない。そこで知り合いのイタリア人記者に聞いてみると、ACミランの下部組織出身で、当時は将来を嘱望された有望株だったようだ。同じ左利きということもあり、その当時にトップチームで活躍していた“天才”こと元ユーゴスラビア代表MFデヤン・サビチェビッチの再来とまで言われていたという。

 残念ながら選手として大成することはなかったが、「選手時代はファンタジスタだったようですね」と尋ねると、真剣な表情でこう答えてくれた。

「ファンタジスタは、ポジションを指す言葉ではない。サッカーをどう解釈するかの、一つの考え方なんだよ。ファンタジスタとして生まれたものは、生涯、ファンタジスタだ。私はサッカーのビジョンが、他の人とは全く違うんだ」

 なるほど、三笘の能力をも最大限に引き出すあの攻撃サッカーの原点は、ファンタジスタと言われた現役時代の自身のサッカー観が大きく影響しているというわけだ。

 イタリア人はどちらかというと保守的な人種だが、ウクライナのシャフタールで指揮を執った経験を持つデ・ゼルビ監督は、異国文化に対しても最大のリスペクトを持っている。

「日本のサッカーファンは、三笘のことを誇りに思うべきだと思うよ。これほど重要な、これほど素晴らしい、これほど強烈な選手が、日本代表にいて、世界最高峰のプレミアリーグでプレーしているわけだからね。私は三笘以外の多くの日本人選手も指導できればと思っているよ、三笘のような強烈な選手をね」

 決してお世辞ではない、三笘に対する高い評価と、言葉の端々から感じる三笘への愛。もちろん、三笘の実力に疑いの余地はない。だが、海外でこれほどの理解者に巡り会えるのも、活躍するうえでは欠かせない要素のはず。三笘は指導者に恵まれている――。そう言い切っても、決して過言ではないだろう。

 三笘同様、ビッグクラブから熱視線を送られているデ・ゼルビ監督。どうせなら、デ・ゼルビ監督に引っ張られてビッグクラブに移籍すればいいのでは? とまで思ってしまう。

「来季の欧州カップ出場圏内に入ること、FAカップで決勝に勝ち進むこと、それが今季の我々の目標だ。三笘はリーグ戦でここまで6ゴール。あと15試合(現在は残り13)残っているから、最低でも10ゴールは決めないといけないよね」

 嬉しそうな表情でそう語るデ・ゼルビ監督のもとで、まずは残りのシーズンでの三笘のさらなる飛躍を期待したい。もちろん、日本代表でも。


取材・文●垣内一之(スポーツニッポン新聞社)
(出典:SOCCER DIGEST Web)            

三笘薫の実力を認めて、ブライトンをその能力を引き出す戦術に修正したデ・ゼルビ監督の手腕。再始動した日本代表は三笘薫をどう使うのか。森保監督の手腕にも注目したい!!