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久保建英を先発で使うべき2つの理由。大一番でベンチ、疑問だらけの謎采配【EL分析コラム】


 UEFAヨーロッパリーグ(EL)・ラウンド16の2ndレグ、レアル・ソシエダ対ローマが現地時間16日に行われ、スコアレスドロー。2戦合計スコア0-2でローマがベスト8に進んだ。ソシエダはまたも無得点。サッカー日本代表MF久保建英のベンチスタートなど、疑問が残る采配も多かった。(文:小澤祐作)

●レアル・ソシエダは180分間で無得点

 レアル・ソシエダはこのままどうなってしまうのだろうか。復調の気配すら見えてこないのが、とても心配だ。

 敵地での1stレグで0-2と敗れたソシエダ。ベスト8進出へ、最低でも2点が必要という中でホームゲームを迎えた。

 1stレグ同様、ソシエダはボールを支配している。敵陣深くに入り込むこと自体は、そこまで難しいことではなかった。しかし、課題は前回の試合と同じ。後ろに5枚を並べるローマ守備陣をどう攻略するか、試行錯誤を繰り返した。

 前半終了間際には、セットプレーからゴールネットを揺らされた。押し込んだクリス・スモーリングにハンドがあったとして取り消しになったが、このシーン含め、ローマの方が効率よくチャンスを作っていた印象だ。

 2点のアドバンテージがあるローマは後半、より守備に重きを置くようになった。その中でソシエダはミケル・オヤルサバルがクロスバー直撃のシュートを放ったりと何度かゴールに迫ったが、ネットは揺れない。結局、180分間でイタリアの古豪から1点も奪えずに大会から姿を消すことになった。
 ソシエダの支配率は76.4%もあり、シュート数は19本、被シュート数は3本となっている。内容的には圧倒していたわけだが、勝負には負けた。まさに対ジョゼ・モウリーニョ監督の典型例と言っていいだろう。
 では、ここまで簡単にゲームを振り返ったが、ソシエダはどこに問題を抱えていたのだろうか。


●驚きだった久保建英のベンチスタート

 まず触れておきたいのは、イマノル・アルグアシル監督の采配だ。かなり疑問に思うところが多かった。

 驚きだったのは、久保建英を先発から外したことだ。先週末のマジョルカ戦でベンチスタートだったため、この日はスタメンに名を連ねるだろうと確信していた。実際、現地メディアのほとんどが久保のスタート起用を予想していた。

 久保をベンチに座らせたアルグアシル監督はオヤルサバルとアレクサンダー・セルロートを2トップ、トップ下にダビド・シルバを置いた4-3-1-2を採用している。フォーメーション自体は、前半戦でうまくいっていたものだ。

 しかし、ここでも疑問なのは、オヤルサバルを2トップの一角で使ったことだ。大怪我から復帰後、なかなかコンディションが上がらないエースは、これまでこのポジションで輝いたことがない。本来得意とするのは左ウィングである。

 シルバを生かすため、トップ下が存在する4-3-1-2を採用したところまでは理解できるが、それならば2トップの一角を得意としていないオヤルサバルではなく、そのポジションでスペシャリティーを発揮してきた久保を使うべきだった。実際、オヤルサバルは苦戦しており、チームを救うことができなかった。

 久保を投入したのも71分のことで、使うには遅すぎる。敗退を覚悟してリーグ戦への切り替えを考えていたとしても、シルバを最後まで引っ張っているのは謎だ。この日は終始アルグアシル監督の本当の狙いが見えてこなかった。

 先ほど久保を先発で使うべきだったと記したが、それは単にオヤルサバルの不調だけが理由ではない。

●久保建英を先発で使うべきだった理由

 モウリーニョ監督率いるローマは守備時5バックになる。ソシエダのサイドバックに対してはウィングバックが出て対応するため、その背後のスペースは空きやすかった。

 ソシエダは何度かその空間を狙っていた。誰が狙っていたのか、それはセルロートだ。中から外へ走り、後方からパスを呼び込むことが何度も見られた。

 しかし、その役割はセルロートに不向きである。巨体には似合わぬスピードは持っているが、ボールを収めた後の1対1には強くなく、ゴールを脅かすようなクロスやスルーパスのスキルも高くはない。そもそもストライカーであるセルロートをゴールから離してしまうこと自体がもったいなく、ローマ戦でシュート1本に終わったのもそれに関係しているだろう。

 セルロートと同じようなタスクを担うなら、まさに久保が適任だ。サイドに流れてボールを収めた後にはキレの良いドリブルで1対1を仕掛けることができ、そこからのクロスやアイデアも光るものがある。セルロートには縦があるが、久保には縦もカットインもある。ここも明白な違いで、どちらがDFにとって嫌かと言えば、答えは簡単だろう。

 好調だった久保とセルロートの2トップ時は、前者が幅を取る動きを見せていたことで、セルロートが中央でフィニッシャーとしての役割を全うすることができていた。巨人FWがゴールを量産できていた理由とも言っていいだろう。しかし、ローマ戦では久保の役割をセルロートが、セルロートの役割をオヤルサバルが担ったことで、チグハグになったのである。とくにセルロートは、単にコンディションの問題もあるはずだが、どこかやりづらそうな印象を受けた。

 こうした選手個々の役割に関しても、アルグアシル監督の疑問采配の1つだった。とにかく今は我慢の時だが、指揮官はどう動くだろうか。

(文:小澤祐作)

(出典:フットボールチャンネル)        

絶不調のソシエダの攻撃をどう立て直すか…。指揮官が使ってくれないと始まらないけど、久保建英の今後の活躍に期待したい!!

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