(出典 the-ans.jp) 

開幕三連勝で好調のヴィッセル神戸「イニエスタがいない方が強い」は本当か〈dot.〉


 サッカーJ1は群雄割拠のリーグだ。クラブ間の力の差が縮まっていると言われる中、首位に立ったのが開幕3連勝を飾ったヴィッセル神戸だ。

 本拠地・ノエスタで開催された4日のガンバ大阪戦は、「元日本代表組」が躍動した。前半3分。敵陣深くから折り返したMF山口蛍のラストパスに、FW大迫勇也が合わせて2戦連発となる先制弾。後半に右サイドから積極的な攻撃参加でDF酒井高徳が自身初の2得点を挙げると、FW武藤嘉紀も後半21分に今季初得点と攻守でガンバを圧倒し、4-0で快勝した。

 昨季はJ2降格の危機に見舞われ、13位に終わった。タレントはそろっているが、チームが目指すサッカーが見えてこない。監督人事でも迷走した。開幕から7戦白星なしで、三浦淳宏監督が1カ月で解任。後任のリュイス・プラナグマ・ラモス暫定監督も2連敗を喫し、スペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督を招聘した。ところがロティーナ監督も結果を残せなかったため、6月下旬に解任。強化部スタッフの吉田孝行氏が4人目の監督に就任した。

 今季は元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ、世代別のスペイン代表に選出されたMFセルジ・サンペールが不在の状況で、スタメンは全員日本人選手。スポーツ紙記者は好調の要因をこう分析する。

「とにかくよく走る。神戸は昨年の終盤あたりから目指すサッカーの方向性が固まったように感じます。少ない手数で一気に相手陣内に攻め込む。ボール支配率は相手より低いですが、豊富な運動量で守備も圧力をかけ続け、決定機を許さない。大迫のコンディションが良いのも大きい。イニエスタが世界有数のテクニシャンであることは間違いないですが、スタメンで起用すると守備の強度が落ちてしまう。攻撃の起点になりますが、他の選手がイニエスタに依存してしまうためにテンポが落ちてしまう。今の神戸ならイニエスタを入れない方が強いと思います」と指摘する。

 スペインの名門・バルセロナの中心選手として活躍し、2010年の南アフリカW杯では決勝・オランダ戦で決勝点となる先制点を決めて優勝に貢献。神戸に電撃移籍したのは18年だった。世界トップクラスの選手がJリーグでプレーする意義は大きい。チームに大きなプラスアルファをもたらしてきたが、38歳を迎えて稼働率が落ちてきていることは否めない。来日6年目の今季はコンディション不良で開幕戦はベンチ外。2月24日に家庭の事情により、スペインに一時帰国したことを発表した。3月上旬に再来日する予定で、今季初出場はもう少し先になりそうだ。

 イニエスタは推定年俸20億円と言われている。21年オフに2年契約を結び、今年が契約最終年。スポーツ紙デスクは「今年で引退の可能性が十分に考えられる。ただ、長丁場のシーズンでイニエスタが必要になる時は来る。開幕3連勝をしましたが、優勝候補のチームとまだ対戦していない。チームの真価が問われるのはこれからです」と力説する。

 イニエスタの持ち場であるボランチは、湘南ベルマーレからレンタル移籍した齊藤未月が山口とのコンビで機能しているだけに、起用法が難しい。吉田監督が好調なチーム状況の中で、イニエスタをどう融合させるか。(今川秀悟)
(出典:AERA dot.)       

開幕3連勝と絶好調の”日本人選手のみ”のヴィッセル神戸!イニエスタが戻ってきた時に、どう融合させ、そして勝ち続けることができるのか。注目したい。